話題の『侍タイムスリッパー』はどんな映画?
2024年8月17日に池袋シネマ・ロサの1館だけで上映が始まった、いわゆるインディーズ映画です。
『侍タイムスリッパー』とは
ストーリー
幕末の会津藩士・高坂新左衛門が、ある夜の任務中に落雷に遭い、現代の時代劇撮影所にタイムスリップしてしまいます。江戸幕府が滅んだことを知り愕然とする新左衛門ですが、やがて「斬られ役」として第二の人生を歩むことを決意します。

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製作背景
・監督は「安田淳一」さんで、未来映画社の劇場映画第三弾となります。
・自主映画でありながら、東映京都撮影所での撮影を実現させた異例の作品です。
・製作費が限られる中、東映京都撮影所のスタッフたちの協力により完成にこぎつけました。
コロナ下、資金集めもままならず諦めかけた監督に、「脚本がオモロいから、なんとかしてやりたい」と救いの手を差し伸べたのは他ならぬ東映京都撮影所だった。 10名たらずの自主映画のロケ隊が時代劇の本家、東映京都で撮影を敢行する前代未聞の事態。
引用元:©2024 Samurai Time Slipper.
主なキャスト
高坂新左衛門 役:山口馬木也(やまぐち まきや)
主人公である会津藩士。幕末の時代から現代にタイムスリップし、時代劇の撮影所で「斬られ役」として新たな人生を歩む。
風見恭一郎 役:冨家規政(ふけ のりまさ)
高坂新左衛門にとって重要な存在で、物語の中で彼と対峙する役柄。
生年月日:1962年3月4日(63歳・2025年6月現在)
出身地:神奈川県
身長:177cm
1982年映画デビュー。現代劇・時代劇問わず幅広く活躍。大河ドラマや舞台、映画での実績多数。
山本優子 役:沙倉ゆうの(さくら ゆうの)
助監督として登場し、物語の進行に重要な役割を果たします。助監督役だが、実際に現場で助監督も兼任。
殺陣師 関本 役:峰蘭太郎(みね らんたろう)
殺陣師としての役割を持ち、斬られ役の歴史を持つ。彼の言葉や行動は、主人公にとっての指針となり、物語の進行に大きな影響。
映画「侍タイムスリッパー」人気理由・考察
監督・安田淳一の覚悟と情熱
制作費2,600万円のうち2,000万円を監督自身が自腹で用意し、車を売却して資金を工面。銀行口座の残高が7,000円になるまで全力投球したというエピソードは、観客や映画ファンの心を強く打ちました。
監督は脚本・編集など11役以上を一人でこなし、まさに“崖っぷち”からの挑戦でした。
"時代劇の聖地"東映京都撮影所の全面協力
100年近い歴史があり、数々の名作時代劇が生まれた、いわば【時代劇の聖地】。通常、撮影所で自主制作映画が撮影されることはめったにありませんが、監督の時代劇愛が共感を呼び、異例の対応につながりました。
東映京都撮影所
東映京都撮影所(とうえいきょうとさつえいじょ)は、京都市右京区太秦に位置する日本の映画スタジオで、東映株式会社の一事業所です。
この撮影所は、1925年に阪東妻三郎によって設立され、100年以上の歴史を持っています。敷地面積は約1.1万坪で、日本に現存する撮影スタジオとしては最大規模とされています。
撮影所内には、一般公開されているテーマパーク「東映太秦映画村」があり、訪問者は時代劇のセットを見学したり、様々なアトラクションを楽しむことができます。ここでは、忍者ショーや剣道の体験なども行われています。
時代劇×タイムスリップの新鮮な設定
幕末の侍が現代にタイムスリップし、価値観の違いに戸惑いながらも現代社会に適応していく物語は、笑いと感動を同時に届ける斬新なもの。時代劇ファンだけでなく幅広い層に支持されました。
映画賞受賞ラッシュ
受賞した主な賞
日本アカデミー賞(第48回)
・最優秀作品賞(インディーズ映画として史上初の快挙)
・最優秀編集賞
・優秀監督賞(安田淳一)
・優秀脚本賞(安田淳一)
・優秀主演男優賞(山口馬木也)
※など合計7部門で優秀賞、うち2部門で最優秀賞を受賞
ブルーリボン賞(第67回)
・作品賞
・主演男優賞(山口馬木也)
日本映画ベストテン1位
ファンタジア上映ドキュメント

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映画の見どころ
迫力の殺陣(たて)シーン
クライマックスの高坂新左衛門と風見恭一郎の対決は「息を呑むほどの緊迫感」と絶賛されています。互いに刀をなかなか抜かず、じりじりと間合いを詰める演出がリアルで、観客は結末が読めずドキドキしっぱなし。1対1の「やるかやられるか」の重みのシーンが秀逸。
タイムスリップが生む価値観の対話
幕末の武士道と現代社会の価値観が衝突し、時に滑稽、時に感動的なシーンを生み出しています。「侍としての誇り」を捨てることなく、しかし同時に新しい時代の価値観を受け入れ、新しい環境に順応していく高坂新左衛門の心情に感慨深いものを感じます。
【異例ヒット】上映1館でスタートの自主制作映画

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まとめ
『侍タイムスリッパー』は、8月17日の池袋シネマ・ロサでの上映開始後、口コミによって急速に人気が広がり、9月13日には全国100館以上の劇場で上映されるまでに至りました。
ミニシアターからの拡大上映は珍しく、「カメラを止めるな!」のような、口コミによって大きな話題となるインディーズ映画のヒット例を想起させます。エミー賞で最多の受賞記録を打ちたてた「SHOGUN 将軍」といい、時代劇ブームが来るのでしょうか?